金属材料の硬さについて

金属の性能を語る上でかかせないのが硬さである。硬さは重要ではありますが金属の性質を評価する上での1つのパラメータにすぎません。硬さ以外にも耐熱性、耐食性や耐薬品性、金属疲労などの疲労強度等、さまざまなパラメータで金属を評価します。あるパラメータに特化した材料よりもバランスのとれた材料の方が使い勝手はいいと思います。金属の強さという面では硬度以外には引っ張り強さ等がありますが今回は硬度について説明していきます。硬度を評価する試験にはさまざまな種類があり、ビッカース硬さ(HV)、ブリネル硬さ(HB)、ロックウェル硬さ(HRC)、ショア硬さ(HS)等があります。
■ビッカース硬さ(HV)
押込式の硬さ試験方法の一つで、ダイヤモンド圧子を使って測定し、HVで表記されます。使われる圧子については、JIS B 7725に規定されています。計測する対象に応じて荷重を変えることができるため汎用性の高さに優れ、あらゆる金属の材料に対応できます。
■ブリネル硬さ(HB)
押込方式の硬さ試験方法の一つで、鋼球や超硬球の圧子を使って、試験対象にくぼみをつけたときの荷重を、残っているくぼみの表面積で割った値で表記されます。使った圧子の種類が鉄・鋼・超硬合金の場合、それぞれについて詳しくHB・HBS・HBWと表記しています。
■ロックウェル硬さ(HRC)
みなさんがよく見る硬さの表記ですね。日本で最もよく使われる押込式の硬さの試験方法で、幅広い範囲の測定ができます。対象に押し込む「圧子」と荷重の組み合わせを選ぶことができるため、様々な硬度の材料に対応できます。圧子には、ダイヤモンド圧子と鋼や超硬のものがあります。測定方法としては、始めに基準となる荷重をかけて、次に試験荷重をかけ、それによって生じたくぼみの深さを硬度に換算して表記しています。適用する圧子と試験荷重のパターンのことを「スケール」と呼び、JISでは9スケールと、さらに11種類のスケールが記載されています。JIS G 0202にロックウェル硬さの試験方法についての規定があります。
ショア硬さ(HS)
硬さの試験方法の一つで、ある一定の高さから、硬さを計測する対象にダイヤモンドハンマーを落下させて跳ね上がった高さを硬さの数値に置き換える試験方法です。JIS B 7727にショア硬さ試験機の規格があり、HSで表記します。ゴム等の軟質材の硬さを計測するときに用いられることが多い試験方法です。
硬さの換算表(参考資料)↓↓↓