機械構造用鋼の化学成分について

特殊鋼の基本元素は、C、Si、Mn、P、S、の五元素からなっています。この五元素に特殊元素のCr、Mo、Niなどが入った鋼材を合金鋼と言う。炭素鋼にCrまたMoの特殊元素が入っていようが、炭素量が同じであれば、焼き入れの硬さは変わらないが炭素鋼では得られない、粘り強さ、硬さ、耐磨耗性、引張強度などが増すために利用されています。また、鋼材が大きい(厚みが厚く)と炭素鋼では充分に焼きが入りにくいので特殊元素を入れることで焼入性(焼きが深く入る)が増すので利用したりもする。
■機械構造用炭素鋼(S--C材)
S--C材の炭素量は0.08~0.6%です。実際によく使われる鋼種としては、S20CからS55Cぐらいで、機械の部品を中心にさまざまな場面で使われる材料になります。また最後にKがついている材料記号で例えばS15CKなどは浸炭はだ焼き専用鋼種になります。浸炭を行うことで炭素量の少ない材料でも表面に強度を持たせることが出来ます。

S10C,S12C,S15C,S17C,S20C,S22C,S25C,S28C,S30C,S33C,S35C,S38C,S40C,S43C,S45C,S48C,S50C,S53C,S55C,S58C,S09CK,S15CK,S20CKの成分表
■機械構造用合金鋼
機械構造用炭素鋼に特殊元素のCr、Mo、Niなどが入った鋼材を機械構造用合金鋼と言う。以下の7種類の分類がある。
■クロム鋼(SCr材)
Cr(クロム)含有量が平均で約1%程度で、イチクロとも呼ばれます。

SCr415,SCr420,SCr430,SCr435,SCr440,SCr445の成分表
■マンガン鋼(SMn材)
機械構造用合金鋼の一つで、Mn(マンガン)を1.2%以上含む鋼種です。耐摩耗性に優れています。

SMn420,SMn433,SMn438,SMn443の成分表
■マンガンクロム鋼(SMnC材)
機械構造用合金鋼の一つで、マンガン鋼並みのMn(マンガン)量を含有し、Cr(クロム)を0.35から0.70%含有する鋼種です。耐衝撃性に優れています。

SMnC420,SMnC443の成分表
■クロムモリブデン鋼(SCM材)
クロム鋼(SCr材)にMo(モリブデン)を入れて改良されたもので、クロム鋼よりも焼入れ性に優れています。通称「クロモリ」と呼ばれる材料です。

SCM415,SCM418,SCM420,SCM421,SCM425,SCM430,SCM432,SCM435,SCM440,SCM445,SCM822の成分表
■ニッケルクロム鋼(SNC材)
機械構造用合金鋼の一つで、Ni(ニッケル)とCr(クロム)を含む構造用合金鋼です。耐食性、耐摩耗性に優れています。

SNC236,SNC415,SNC631,SNC815,SNC836の成分表
■ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM材)
機械構造用合金鋼の一つで、Ni(ニッケル)、Cr(クロム)、Mo(モリブデン)の三種を含有する鋼種です。機械構造用合金鋼の中では最も機械的性質に優れた材料ですが、コストも最も高くなります。

SNCM220,SNCM240,SNCM415,SNCM420,SNCM431,SNCM439,SNCM447,SNCM616,SNCM625,SNCM630,SNCM815の成分表
■アルミニウムクロムモリブデン鋼(SACM材)
機械構造用合金鋼の一つで、Al(アルミニウム)を含む唯一の鋼種です。JIS規格では1種類のみ規格があります。一般には窒化させて用い耐摩耗性にきわめて優れていて、耐食性にも優れています。

SACM645の成分表